どくんと騒いで、ようやく口から出たのは
「え…?」
疑問。
だって、俺は今女だ。
しかも無駄に胸のでかい、メイド服を着たらぶりーな女の子だ。
そんな女に告白なんて、一体どういうことだ?
「…女の子だよ、俺」
「じゃあ柚邑くんじゃないの?」
ハッとして、思わず百瀬を見つめれば一一まっすぐな黒い瞳。
迷いのない、芯の通った麗しい表情。
『ちゃんと答えを出したの、彼女は』
天探女の声がフラッシュバックする。
ああそうか、これか。
これが百瀬の出した答えなんだ。
最初にゆーちゃんで出会ったときに、恥ずかしそうに想いを明かしてくれた時となんら変わらない一一これが、答え。
「…百瀬ぇ…」
やだな。
好きな子の前で泣きたくなんかない。
なんだかとってもホッとしたんだ。
拒絶されたらどうしようって、不安だった。
引いたと言われたあたりからかなり嫌な予感はしてたのに、まさか女の俺すらも受け入れてくれるなんて。
…女の子になると涙腺がゆるいみたいだ。
ぐずぐずという鼻をすすって、見せたくないから…ううん、とっても抱きしめたかったから、抱きしめた。
とにかく、百瀬に触れたかった。
存在がとっても嬉しくて、触れたかった。
腕を強く回して、消えないように閉じ込める。
「二回も言わせてごめん。
こんな俺を受け入れてくれてありがとう一一
俺も、百瀬が好きだ、愛してる」
「柚邑くん…泣いてるの?」
「…っ、人って、嬉しくって泣くんだな」
女体化してわかったこと。
俺の周りは、いい人で溢れてる。
俺を愛してくれる人で、溢れてる。
「好きになってよかったっ…」
俺は、自分で思ってる以上に幸せ者だ。


