「守れてないってそんな…」


充分この子は弥生ちゃんのことを考えて、守ろうとしてる。

そんな自己嫌悪に浸ることないのに。



「違うの、本当に……

あの子が正式に後継になることがこの間決まっちゃったの…!」



焦燥感にかられた顔が、嘘じゃないことを伝えてくる。


「……え、だってまだ、4歳で」


「…年なんか関係ないんです……。私が役立たずだから、妹にって…単純でしょう?」


涙に濡れた瞳が自嘲気味に笑う。


……なんてことだ。


彼女が妹のためにと反抗してきた全てが、結果的に妹の首を絞めることになったのである。



非情すぎる現状に瞠目してたら、小さな声が聞こえた。



「……提案、していい?」



そろそろと手を上げて、金色の目がキラリと光った。


鳳凰の脳たる彼、何か話があるようだ。


「な、なに…?」


驚いたように聞いた今日子ちゃんに、彼は「これだけ聞いていい?」と口を開いた。




「おねえさんはさ、自分と妹どちらが大事?」

「弥生です。もちろん」

「自分がどうなっても守りたい?」

「…?」



意味がわからなかったらしく、首をかしげた彼女に。


「非道なことでも、弥生ちゃんが当主にならないのならばなんでも受け入れられる?」


まるで、悪魔みたいに聞いた。


「……弥生が助かるなら。


あの子は、邪眼なんかにしたくないの。
あの子の意思関係なく、間違いなく私のエゴでもね。

それでも、あの子のためだって言い切れる」



自分に言い聞かせるようだ。


…今日子ちゃんはわかってるのだ。

自分の重すぎる願いは、間違いなくエゴだって。


それでも、後悔なんてしてないみたいだ。



コクリと満足そうに頷いて、苑雛くんは一一