俺と山本由美との間に子供ができていた事がわかった。
俺はもうどうしようかパニックになって、とりあえずお父さんのとこに逃げ込んだわけだ。
それを聞いたお父さんは、
「どーせ虚言ですよー。全く、黒庵は女慣れしてないんだから…女性ってよくそーゆーこと言うんですよ、まに受けちゃいけません」
とか言った(じゃあお父さんは女慣れしてんのかよ、聞いたことないぞそんな話)
だから証拠として見せられた産婦人科の手帳の話をすれば、固まって。
神々との間の子について調べ始めた訳である。
「…あー…マジどうしよ。
こんな大変な時に……」
アカネの体の問題、シロの問題。
それに赤龍の問題。
山積みの時に降ってきてしまった、不貞の問題。
鳳凰の奴らに顔向けができない。
もちろん、アカネにも。
「……間違っても下ろすなんて考えちゃいけませんよ。
殺人をする子に育てた覚えはありません」
「…わあってるよ」
実にお父さんらしいセリフに苦笑する。
微塵もそんな事考えてなかったけど、釘を刺さずにはいられなかったんだろーな。
お父さんは子供が大好きだ。
たまに親交のある神々が子供を産んだ(もしくは作った)と話を聞けば、祝いの文と上等な布などをプレゼントする。
家族というものに何より憧れ一一否、“お父さん”に固執しているようにも見える。
当たり前だが俺ら鳳凰はお父さんの子供じゃない。
拾われた、というだけで子供にされたのだ。
だからこそ、だろうか。
血のある関係に、神々のくせに憧れているのが垣間見えるのだ。
ついで、実父との関係が好ましくないのも理由と言えるだろう。
そりゃあそうだ、大好きな兄弟を割った張本人なんだから。
「人間の子ですか…私はおじいちゃんになるのでしょうかねぇ…
おじいちゃまって呼ばれたい…!」
「ちょっとまって、なんかノリノリじゃね?」
お先真っ暗な俺の目の前で何目ェ輝かせてんの。
「鳳凰のつがいって、あくまで平和の象徴と陰陽を意味したいだけみたいじゃないですかー。
子供できないってわかった時は少しショックだったんで、若干嬉しいのは認めますっ」
そう。
人間が祈って作り出した鳳凰は、子供ができないものだったのだ。
どうやら卵とかの設定の発想には至らなかったらしい。
お父さんとしてはショックだったようだ。
俺としてはアカネちゃんがいれば子供なんていようがいまいが良かったんだけど。
…はぁ、本当にどうしよう。
ため息をついた俺に、お父さんは悲しそうに呟いた。
「……でも、残念ですが一一生まれるかどうかはわからないんですよ」


