妄想世界に屁理屈を。



「え…」

綺麗な青い目が露わになる。


目隠ししたまんまで警戒心なんか取れるわけないじゃないか。


「…あれ、あなた…」


俺が誰だか気付いたらしい。

目をパチクリさせて、凝視させられる。


う、うーん、死なないかな俺…


「あの時の、人違い巨乳さん…」


「まさかの印象それ…?」

ちょっと落ち込んだが、まあ警戒心は薄れたみたいでよかった。


「人違いしただけじゃ飽き足らず誘拐しちゃうとは……」

「ち、ちがっ…それは苑雛くんが勝手にっ」

「そんなに似てたんですか?よくわかんないけど、あなたのお知り合いさんに」

「似てるけど…雰囲気がちょっと違うかも」

「私に似てる人、ねぇ…」


じゃあ腕の縛りも、と、縄に手をかける。

結構ゆるいな。簡単に行けそう。



「その人も邪眼なんですか?」



「一一っ」


やっぱり、他にも邪眼の一族がいるのか。

苑雛くんの見解は合っていたんだ。



「え、あの…」



固まった俺に驚いたのか、不思議そうな声を出す。

それで、なんとなく合点がいった。



さっき俺が感じた“慣れている”は、あながち間違いじゃないのかもしれない。


商品として利用され、人格を無視されてきた最高級の暗殺者。

苑雛くんが言うことが本当ならば、彼女を利用しようとしてきた輩はたくさんいたはずだ。


そう、誘拐してでも。



「……なん、なんだ…」

「?」


女の子にそこまでするほど、邪眼はすごいのか。


なんなんだ、邪眼って。



「…ゆーちゃん。
気付いたようじゃの?
じゃがなぁ、無知が理不尽を怒ることはできんぞ」


鸞さんの美しい声が俺の鼓膜を刺激する。


…宮下さんの時も思ったんだ。この人、人を奮い立たせる力があるよな。


そう、知らなきゃならないのだ。



理不尽を怒るのに。