妄想世界に屁理屈を。



「…なんで、拉致したの?」


そういえば、きちんと聞いてなかった。


彼女にここまでしてまで聞かなきゃならないことって、なんだろう。


「……調べても出てこないんだ。
きちんとした邪眼の情報が」

「え?」


悔しそうに、顔を歪める苑雛くん。


「邪眼のいる村の荒れ果てた状態とかは、ちょっと調べたり周りの神様に聞いたりするだけでわかった。
だけど、ルーツや関係図とか一一そういう、内部まではわからなくて。

本人に聞くしかないなって。
いまのとこ、邪眼は守白家しかわかってないし…」


「邪眼の家って何件もあるの?」


「じゃないかって推測できる」

「え?」


どういうこと、と聞き返そうとした時に、モソリと今日子さんが身じろぎした。


どうやら状況がわかってないみたいで、半分夢の中。


「…ん…?」


こっちの角度からは見えなかったが、腕が縛られていたらしい。

それでようやく状況を飲み込んで。



「…や、弥生っ!」



そう叫んだ。



「…君の出番だよ」

「は、はあ?」


こしょこしょと苑雛くんが耳打ちしてくる。


「面識あるんでしょ…警戒心解いていろいろと聞き出してよ」


「そんなの苑雛くんの仕事じゃ」


「相手は邪眼だよ?
生態はよくわかんないけど、神格がばれたら面倒じゃん!」


「え、えぇ!?そしたら俺も器としてそれなりにあるんだけど」


「でも人間にいちばん近いでしょう?それに見た目だけは女の子なんだから」

「あ、相手目隠ししてるからあんまり関係ないし、何しろ誘拐犯と仲良くなる奴はいないかと」


「いいからほら!」


とん、と背中を押されてしまった。



仕方ない一一なんか色々と無理やりな気がするけど、なんとかやるだけやってみるか。