「あの子はね、邪眼っていう特殊能力を持ってる」
そう言われても、いまいちピンとこなかったけど。
なにやらすごそうだ、とは思った。
「邪眼って知らない?
相手を見るだけで呪い殺してしまう眼の事だよ?」
「……」
あれ?それ、どこかで聞いたような…
「神様でも殺しちゃうような代物だから、念のため目隠しをしているってわけ。
視線さえ合わなければいいみたいだしね」
「だから…なるほど」
危害を加えるつもりで目隠しをしたんじゃないのか。
「彼女はね、これのせいで波乱万丈な人生を送ってきたんだ」
「……」
ばつが悪そうに、目線をそらす鸞さんに違和感を覚えつつ、苑雛くんの話に耳を傾けた。
「代々守白家は邪眼を用いた暗殺を生業としてきたんだ」
「あ、暗殺!?」
聞きなれない言葉に耳を疑えば、相変わらず笑いながら答えてくれた。
「そう。
それも証拠も何も残らない、超最高級の暗殺者としてね」
「その価値は崇められ、祀られ一一利用されたのじゃ。
こいつの村は、代々守白家を束縛し、商品のように扱ってきた。
邪眼に人格は必要ないとまで言われ、人格を無くす薬を用いられ、依存させられ、人間として認められないほど壊された。
最後は子作りの道具となって、邪眼同士で結婚させられるのじゃ」
「…え?」
何を言ってるのか、理解できなかった。
だって、この目の前の普通の女の子が。
そんな、よくわからない環境で、狂った育て方されているなんて。
なんとなく、普通じゃないのはわかっていた。
外見とかじゃなくって、雰囲気みたいなものが。
いつも裸足で、ぼろぼろで、そして一一妹への異常なまでの固執。
「…今日子さん…」
聞けば、妹の蜜柑と同い年じゃないか。
あいつの足はこんなに傷だらけじゃなかった。
黒く、皮が厚くなかった。
こんな異常な痩せ方をしていない。
もっと、この年齢なら健康的に筋肉をつけなきゃいけない。
なのに、なのに。


