例のお堂みたいな所に着く。
一瞬、スズが嫌なことを思い出さないためかな、という思考が脳裏をよぎった。
昨日のことだ、嫌な思い出が鮮明に思い出されるのは可哀想だ。
優しいんだなあ、なんて呑気に考えてたら、お堂から鸞さんが出てきた。
「あ、鸞さん」
「……きたか」
いつもなら苑雛くんをみたら満面の笑みで抱きしめにかかるのに、今は険しい表情でこちらを見つめてくるだけ。
違和感。
苑雛くんもいつのまにか笑みが消えてるし、何があったんだ。
「我が主、どうですか?」
「眠っておる」
なにやらこそこそと話してるが、内容がちんぷんかんぷんだ。
目をはてなにしていると、気付いたように鸞さんがため息をついた。
「柚邑」
女にしては低音の、美しい声で。
「おぬしは、わしらをどう思っておる」
そんなことを問うた。


