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鮮やかな木々の木漏れ日に照らされて、昨日もきた所を歩く俺たちである。
迷いそうな錯覚に、ちょっと頭がふらりとする。
「…苑雛くん」
「なあに?」
「ここって、安倍晴明の…」
そう。
ここは昨日きた、安倍晴明の異界である。
もう安倍晴明はいないし、なんの用なんだろう。
「うん、そうだよ!ここは安倍晴明のとこだよ
安倍晴明亡き今、管理者のいないここはいずれなくなっちゃうんだけど、まだ残ってるからね。
ちょうどいいから活用しようと思って」
神々のゴミ捨て場に連れて行かれた安倍晴明。
大罪人として、応龍さんが処刑するんだそうだ。
処刑されたあとの神は、純粋な霊力となって、この世界にとろけて空気のようになっていく場合もあれば、次世代の神と青龍さんが目星をつけたものに渡すこともあるらしい。
うーん、いまいち掴めないんだけど。
そんなことより。
「なんでスズたち置いてきたのさ」
「えへへー」
学校の水鏡から飛び込んだ先は、驪さんの異界。
そこでアカネとスズを置いていき、ここに来たというわけで。
「スズとアカネには内緒のことなの?」
「まあね」
意味深に微笑みを浮かべる苑雛くん。
アカネとスズには内緒のことなんて、一体なんだろう。
体の中にアカネがいないせいか、軽く感じる。
肩にスズがいないせいか、ついあの茶色の髪の毛を探してしまう。
結構彼女らがいる生活が当たり前になっていることに、少し驚いた。


