俺の身代わりになってくれるもう一人の俺。
夜になれば自然に俺になるようにプログラミングされたその羽に、少量の霊力を注ぐ苑雛くん。
前に見たようにふわりと俺の形に姿を変える。
「…この上ないほど精密な替え玉だね」
「なんと!霊力まで似せてるんだよ!」
「無駄なこだわりだね…」
「あとは神格の高さを似せれば…だけどあんまり高くても食べられちゃったら困るからなぁ、無防備だし」
やめてくれ。
「なんだそれ?影武者か何かか?」
「あたりー!影武者じゃなくて身代わりの人形だよ!
簡単な会話ならできるくらいの知能はある」
「よくわかんないけど、苑雛くんが作ったのか?」
「まって、おにーさんなんか理解が早すぎない?」
明らかに色々と慣れてきた厘介である。
相変わらずな紅太は、もう一人の俺を開口しながら見ている。
「じゃあ行こっ!」
ぐいっと腕をひっぱられて、水の間際あたりに連れて行かれた。
たたっとスズもついてきて、俺の袖も離れないようにつかむ。
「え?マジで行くの!?」
そこだけ理解したらしい紅太がようやく叫んできた。
「うん…まあよくわかんないけど、大変な事態らしいし」
「……」
驚いたように目を開いた。
何言ってんだろうこいつって感じだろうな。
神様なんて、ただの人間からしたら途方もなく遠い存在。
あやふやな、いるかいないかもわからない存在。
そんなのに足をつっこんで、協力してる俺が意味わからないだろう。
でも、わかってきちゃったんだから仕方ないじゃん。
人間が勝手に作り出して、いいように利用してきた神様ってもんが。


