そんなスズに近寄って頭を優しく撫でたのは厘介だった。
茶色の髪の毛の上を手のひらが撫でる。
「……っ」
瞬時にビクッとして、ダッシュで俺のもとへ逃げる。
裏に隠れて、厘介を怖い物を見るような目で見つめた。
あ、やっぱ人間怖いんだ。
それでも頑張ってくれたスズに感謝。
「あー…やっぱりだめか。
こわい?」
無言でそれに答える。
さっきは自分から声を出して前に出たっていうのに。
「そっかぁ…なるほどねぇ!!」
「ん?何が?」
なんか嬉しそうな紅太を疑問に思い、じっと見てみる。
「…ぅうっ、お前ほんとかわいいなぁ」
「…友達に顔見て真っ赤になられて複雑な心境なんだけど」
蜜柑の妄想みたいじゃないか。
「で?何がなるほどなの?」
「ああー…いやね?本当にスズちゃんは柚邑のこと好きなんだなぁって」
にっこりと無邪気に笑う紅太に、あわあわと慌てたのはスズだった。
「なっ…そんなことない!!人間なんて大嫌いなんだから!」
“…さっきあんなに柚邑を嫌いにならないでって騒いでた奴が言ってもなぁー”
「あ、アカネ様!?」
アカネの声も姿もきこえない紅太たちは不思議そうに首を傾げた。
そんな元どおりとも言える光景の中一一
「はい、じゃあおねーさんには付いて来てもらわなきゃならない用があるから、ここでバイバイねー」
苑雛くんが、またとんでも無いことを言い始めた。


