「……」
顔を見られたくなくって伏せた。
なぜか嫌だった。
女の子の姿を見られることが。
実際なってみて気付くなんておかしいけど、どうしても嫌だったんだ。
男同士という対等ではなくなった感じと、メイちゃんという幻の存在を裏切った感じ。
あんなに必死に探してたのを高みの見物のように見てたみたいじゃないか、俺。
なんとも言えない罪悪感と、恥ずかしさ。
「なんで…メイちゃんが柚邑なんだ…?」
厘介の出した疑問に、苑雛くんが答える。
「アカネを救うためだよ
アカネは今霊力がなくってね、おにーさんはその霊力を貯める器になってるんだ。
おねーさんになることで霊力を貯めやすくしてるんだよ」
「…」
あんまりよくわかってない感じだった。
そりゃぁそうだ。霊力とか意味わかんないもん。
ただの人間には仕方のないこと。
俺も、数日前まではそうだったから。
器化なんかしなければ、知り得ない知識。
…このさき、俺は彼らとまた対等な友達になれるのだろうか。
夜になれば女になって、ましてやそれをかくしてきた俺は、どうなるんだろう。
こんなにいい奴らなのに、関係が終わってしまうんだろうか。
「……柚邑が、メイちゃんだったなんて…」
呆然とつぶやいた紅太に、反応したのはスズだった。
「ち、違うんだよ!!
隠してたのは、しょーがないんだよ!!」
腕を通せんぼして、俺をかばうようなポーズをとる。
「あのね、私たちがないしょにしてって言ったんだ。
に…人間には言わないでって。内緒にして欲しいって。
だから…」
「…スズ?」
苑雛くんの目が開かれる。
信じられないという風に。
俺だって信じられないさ。
「だから柚邑を嫌いにならないで。
今まで通り仲良くしてあげて…」
あの、すずが。
昨日は人間に殺されかけたあのスズが。
人間の前に立ちふさがって、しっかりと目を見て。
人間である俺をかばってるのだから。


