ビクッとしたスズが背後にとんで隠れた。
「あ、スズ…大丈夫?」
「嘘だぁああ!その鳥はスズちゃんなんかじゃ…」
「ふ…はは…そうだよ、なに血迷ってんだよ柚邑」
なんだかめんどくさくなってきた、この人たち。
信じたくないのはわかる気がするけど、ちょっとは信じてくれよ。
目の前で女の子が鳥になることなんてないんだから。
「紅太、厘介!もういい加減諦めて信じてよ。
じゃなきゃ進まないよ」
「んなこと急に言われても…信じられるわけないだろ…」
頭を抱えた厘介に、ちょっと驚く。
俺はもう慣れてきて当たり前みたいに思ってきてるけど、実は結構SFなんだよな。
うーん、麻痺してきてる…。
ここは俺が引き下がろう。
いきなり信じてもらうのには無理があったな。
「じゃあちょっとずつついてきて。
今すぐ信じろとは言わないから」
そう言うとコクリと頷いた二人。
とりあえず話を聞く体制はできたみたいだ
「…まあ柚邑が大変なことに首突っ込んでんのはわかったよ」
「なんでこんなことになったんだよー?」
紅太の質問にまってましたと答える。
「前さ、山登ったじゃん?
恋愛の神社目当てで」
「あー、行ったねー!あの柚邑が落ちたやつ!」
「あれは面白かった」
百瀬から褒められた帽子を追いかけて山から落ちたことを掘り出されて、少し恥ずかしくなった。
「落ちたあの時にね、アカネっていう体のない女の子に会ったんだ」
「…ぅええ!?」
「柚邑、話がぶっ飛びすぎてついてけないんだけど」
「えーと、どう言ってもぶっ飛んでる話だから、少しスルーしながら聞いて」
アカネとの出会いは強烈すぎて、ちょっと言い表せない。
「アカネは鳳凰っていう神様で、事情があって体を失っていわば幽霊みたいになってたんだ」
「あ、俺鳳凰って知ってるー!あれだろ、一万円札の裏のやつ!」
「俺も知ってる。三国の伝説上の鳥だろ?」
え、なんで知ってるの。
そんな常識じゃない?みたいな顔されて話されちゃ、俺が常識ないみたいじゃん。
博識なお友達で泣きたくなる。


