「違うバカ人間!

あれは分院したここの山の荼枳尼天神なの!」


「あ、そーゆーことか」


なるほど。

どこかに大元の荼枳尼天がいて、分院するさいの一部があのラリラリさんか。


“ラリラリさん…まぁラリラリっちゃぁーラリラリか。

あれはね、人間が『ここの神様って超スゲーんだぜ』とか言って崇めるから、無駄に調子に乗っちまった末路なだけだよ”


「え…?」


はぁ、と気だるげにため息をついて。


“あいつは欲しちまったんだよ、地位を、名誉を、トップを――

自分は偉いんだって思い始めて、それで私の霊力に目をつけた。

最初の変な黒いやつは、あの荼枳尼天の一部か子分じゃねーかなー?オーラが似てたし。

あとついでにゆーと、さっきの白いやつは大元の乗り物兼ペットだよ”


大元からお呼びだしがかかった、ってことか。

「それ、じゃあ…」


「あなたたちクソ人間の身勝手な願いのせい」


止めをさしたのはスズだった。


俺ら人間は勝手に願う。

自分勝手に神に願い、助けを求める。

願いが神を生むのなら、強くするのなら。

俺らのせいではないか、あの荼枳尼天の姿は――



“あー…柚邑、願うことはしょーがねーんだぞ?あまり自分を責めんなや”


「俺、身勝手に祈りに山に来て…」


“まーまー。お前だけじゃねーんだ、願うのは。人間の性みたいなもんだよ”