「あのね。いくら考えてもおかしいんです。辻褄が合わないんです」
「なんの辻褄ですか?」
「龍ってさ、始祖神ってことで、土地を意味するんでしょう?
すなわち、土地の神様でもあるわけです。
だから異界を他の神様より簡単に作れるし、神格だって最高位」
「照れちゃいますね」
そう。
とくに日本は龍の始祖神信仰が凄まじく、天変地異はすべて龍の御心のままだとまで言われた。
地震を起こすと言われるナマズだって龍をかたどったものだし、豪雨や日照りが思いのままの龍神だってまごう事なき龍。
始祖=森羅万象=土地…といった思考回路なのかな。
とにかく、龍は土地を始めとした森羅万象を表す神とされてきた。
とくに、この日本では。
「知識欲に埋もれて深く考えなかったんだけどさ、そんなお父さんが狐の村を探せない訳ないですよね」
お父さんですら知り得ない場所一一
知りたいと、知識欲に溺れて先走ってしまった。
我ながら愚直すぎる。
「ついで、シロの居場所も…」
かすかに、お父さんの顔色が変わる。
年中お花畑の中にいるみたいに柔らかな顔が、目が一一緊迫感に包まれた。
土地を支配する神様が知らない場所なんてあるわけがない。
考えれば単純だったのに。


