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「話ってなんですか、苑雛」
お父さんのふわふわとした笑みに癒されながら、いつもの書斎で向かい合う。
天井まで連なる古書が詰まった本棚に、文机。
部屋というより小説家の仕事部屋チックなお父さんの部屋だ。
我が麗しき主の膝の上で、ちょっとだけ真剣な顔をしてみる。
「アカネたちには聞かれたくない話なら、早く済ませた方が良いですよー?
あの子に怪しまれたら逃げられませんからね」
「…アカネ、すっごい秘密にされるの嫌いますもんね」
仲間外れにするの?するのか?と、お友達大好きなアカネらしい傷つき方をするのだ。
めんどくさいったらありゃしない。
保育園で習うお友達との関わり方をそのまま信じて生きてるような人だから。
「そのお友達大好きなアカネの話なんだけど、タマの事なんです」
「タマ…ああ、アカネの仲良しのお友達の事ですね。それがどうかしましたか?」
「率直に聞きます一一お父さん、なにか隠してないですか?」
間髪入れずにそう言うと、ピタリと動きを止めたお父さん。
「え…なんでですか?」
心底驚いたと言った表情からは、嘘か誠か見分けがつかない。
率直に聞きすぎたかな。
「お父さん、偽りはなく言って欲しいのじゃが」
「鸞まで私を疑うんですかー?そもそも私はなにを偽らなきゃならないんですか」
今度はいつもみたいに天使のスマイルで、まるで冗談みたいにかわされた。


