妄想世界に屁理屈を。



「…てゆーか、スズ。本当に大丈夫なの?」

「なにが?」


「誘拐されたあとなんだし…体とか、怖かったりとかないの?」



キョトンと一回固まって、ぷっと笑い始めた。

え?今の笑うとこ?


「ゆーちゃんったらぁ、私はただの子供じゃないんだよ?

体はアカネ様や苑雛様が治してくれたおかげで大丈夫だし、誘拐なんて慣れっこだもん。

人間の子供と一緒にしないでよ」



けらけら笑いながら言うもんだから、案外タフなんだなあと実感。


まあ誘拐なんて日常茶飯事みたいだし、拉致られてもまたかあ、くらいなノリなのかもしれないけれど。


見た目幼い子供なスズが言うと、なんだか虚勢にしか見えなかった。


「…そっか。カレー食べれてるしね」

「アカネ様の一の側近たるもの、誘拐ごときで騒がないんだから」

「どちらかというと、騒ぐのは周りだけどね」

「せ、せっかくかっこよく言ったんだから黙ってなさいよ人間!」



なぜか怒られて、無理やり口にスプーンを突っ込まれた。

美味しいカレーの味で強制的に会話を終了させられて、仲睦まじく笑う。



「仲良しさんですね、朱雀」



暖かい、だけど低い声が降りかかる。


いつの間にか開いていた窓から入ってきた漆黒のスーツ姿のミサキくんが、軽く笑みながら歩み寄ってくる。

“おうっ、ミサキじゃねーか”

「ミサキくん!」


嬉しそうに顔を上げたミサキくん大好きなスズ。


「御先…」


「先ほどは騒がしかったので、もう一度言わせて頂きます」


珍しく嬉しそうに笑いながら、エプロン姿の黒庵さんに膝を折り、頭を下げる。