妄想世界に屁理屈を。



「だから、もう敵なんていいです。青龍さま」


「宮下のおっさん…」

思わず呟いた。

自分より年を取ってしまった宮下が嬉しくて。


助けてよかったって、心の底から思えた。



「…そうか。私はお前のような神がいることを嬉しく思う」

「滅相もないです」


じいちゃんも孫が褒められて嬉しかったのか、無表情を笑みに染めた。


俺は宮下の孵った時に立ち会ってないし、親も知らないけど。

きっといい天狗だったんだろうなって想像できた。

宮下の心優しさはきっと両親に似てるんだろう。


「鸞さーんっ!」

なぜかスズをお姫様抱っこしてる柚邑が駆け寄ってくる。

萌要素抜群なメイド服姿でかっこいいことしてる柚邑のおかげで、空気が綺麗に壊れた。


「ゆーちゃん?どうしたんじゃ…スズ!無事かっ」

「それが…スズ毒を盛られたみたいで」

「なんの毒?傷は治ってるみたいだから、神々の毒か」

“七歩蛇の毒だ!苑雛なんとかならねーか?”

「うん、なんとかなるよ!」


子供っぽく返事をした苑雛にホッとした柚邑が、安堵のため息をついた。