「じゃあさ、お母さんの出生についてとか聞いてない?」
こいつは葛の葉について知りたがってんのか?
葛の葉は鳥じゃねぇし、俺らの管轄じゃないんだけど。
「母については伝説通りだ…」
「鶴の恩返しならぬ、狐の恩返し伝説か。
君はお母さんに信用されてなかったのかなあ?」
「なっ…」
「君のお母さんはある一族の出身なんだよ、捨て子さん」
こいつは何を言いたいんだ?
否、こいつは何を隠してんだ?
「この異界はその一族の村に通じてる、いわばトンネルなんだ。
ま、君が利用するようになってから使われてないけどね」
「何を言いたいんだ…」
だいぶ霊力が抜け、苦しくなってきたらしい。
息も絶え絶えになりながら、這いつくばって幼児に教えを乞う姿は、ひどく滑稽だった。
「 君、玉藻前を見抜いたよね?」
「子孫が復活させてくれたのだ。役に立つのは当然だろう」
「見抜いた時に感じなかった?」
「…っな、」
みるみる目が開かれる。
驚愕に染まった目。
何かを言い当てたのだろう。
「お母さんと霊力が酷似してた…とか」
霊力は神々によって変わる。
顔や性格同様、子はやはり親に似たりするんだけど。
「きっとお母さんと似てるから追って、違うとわかったから殺したんだろうね。
君のお母さんと玉藻前は、同郷だよ」
俺らの目も、驚愕に染まる。