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アカネが去ったのを確認して、足元の塵野郎に目を戻した。
す、と肋骨の辺りに靴をやり、あと少しで骨折というとこまで力を入れる。
「っ…く…」
「じゃ、俺様の質問に答えてもらおーか」
「いやいや、どちらかというと僕の質問なんだけどね?」
見学に徹していた苑雛が、とてとてと近づいてきた。
口を挟みたくなったらしい。
「あなたは、赤龍に復活させられたの?」
「…ああ。少なくとも、そう名乗った」
「…何か命じられたりした?」
「いや、珠が欲しいという利害は一致していたから、お前の好きにしろといわれた」
「そっか、ありがとう」
何かわかったらしい苑雛は、深く考えるようにあごに手をやる。
「何かわかったのか?苑雛」
「あんまり。叔父さんなに考えてるかわからないんですもん」
「まあ、会ったこともなしのぉ…」
鸞も首を傾げた。
応龍さんはお父さんと仲が良いから、何回か会ったことがある。
初めて会ったときは見た目のインパクトに度肝をぬかれた。
そもそも、お父さんがヒッキーになった原因は、赤龍である。
会いたくもないし、会う機会もない。
そんな存在の彼が動いた。
黒龍の盾である鳳凰に対して、宣戦布告とも取れる行動をしたのだ。
黙ってるわけにはいかない。
「さて、赤龍の処分は後で考えるとして。
僕にとっては本題に移ろうか」