妄想世界に屁理屈を。


足元をすくう鎌をよけようと、ジャンプ。


いまこそ帰宅部の誇りを見せつけようと、かっこよく着地し踏み込もうと――



「…あ」



滑った。


それはもうずべべと落ち葉に足をとられて、ドリフのように転ぶ。


そのとき、持ちなれない剣が飛んだ。


べしゃぁとカッコ悪く落ちて、視界が落ち葉で埋め尽くされる。



「柚邑!」

“だ、大丈夫か!”



二人の声が重なり、急に恥ずかしくなる。


しばらく寝てたかったけど、起き上がるしかなくそうする。


と。



荼己尼天の足に、剣が突き刺さっていた。



「なっ…」


(…っ、痛い、人間、ひどい、一番、なる…)


本当にたまたまだけど、どうにか足に命中した。


ひゅるり、何かが目の前を横切り、負傷した荼己尼天の足を掬う。


彼女は黙ったまま、それに跨がった。