「赤龍っていうと…俺は脳内お花畑な驪さんに跡取りを取られたっていう印象しかないんだけど」
“あながち間違っちゃねーな。私もその印象しかない。あったことないし”
「…き、気付かなかった…」
「鸞ちゃん、気に病むことはないわよォ。
会ったことない叔父さんの霊力なんて、わかるはずないものねェ
…さあて、父上の御命令だしィ…
辞世の句でも述べて、お別れすんのね」
ぐ、と刀が首につき、赤い線が浮かび上がる。
血ですら腐ってるのか、腐敗臭が強くなった。
「…詫びてもらってもよいかのぉ
敵よ」
殺気と、低い声。
今まで倒れてた変態とは思えぬ姿勢に、戦慄く。
「…宮下さん……」
「よもやわしが奴の命を奪おう等とは思っておらぬ。
傷つけたり殺そうという思いは、黒いのを見ていたら失せたしの。
戦うのが専門なやつらにやらせるべきじゃ」
諦めたような声に、安心した気配を感じた。
アカネだ。
アカネは慣れ親しんだ宮下さんが血に、狂喜に染まるのを嫌がっていた。
だから、傷つけないと言う宮下さんに安心したんだろう。


