妄想世界に屁理屈を。


ふわー…と歩かずに上空二三センチほど上を浮いて移動し、白虎の前へ出た。

黒庵さんは来たのを見計らって引き、二人が襲われたときのためにすぐそばに待機した。


唸って威嚇する白虎に、悲しそうに互いを見合わせて。


「「白虎」」


二人揃って、名前を呼んだ。


「こちらへいらっしゃい。美味しいお菓子がありますよ」

「痛いだろう?傷を癒そう。ほら、こちらへおいで」


子供かっ!とツッコミたくなる呼び方。

慈愛に満ちた笑みには悲しみを孕んでいて、白虎に対する愛情がうかがえた。


…その笑みには毒消しの効果でもあるのかもしれない。



白虎くんの瞳が、だんだん意識を取り戻して――ただの獣から、神に成る。



ひとつ、ふたつと歩き出し、麒麟たちへ向かう。


気品のある歩き方で麒麟の元へ行き、だまって頭(コウベ)を垂れた。


まるで、服従しているように。



「「白虎!」」



たまらず叫んだ二人は、白虎に抱きつく。


「ああ可哀想に…」

「出掛けるときは断ってから行きなさい」


各々説教しながら、強く強く抱き締めた。

ボロボロの毛並みを撫でて、傷を治していく。