空を切ったところから、紙吹雪みたいに景色が消え去っていく。
サラサラと、こぼれるように景色が崩れて。
茶色い建物が登場した。
古くさい焦げ茶色の建物は、どこかでみたことがある慣れ親しんだもの。
造りはまんま、寺のお堂だった。
「隠されてたの…?」
「うん。まあひよっこの作った結界ごとき、余裕で見抜けるよ。
霊力の温度が違うんだもん」
「俺様の剣は破邪だかんな。こーゆーのを破くこともできんだよ」
黒庵さんが手をグー、パーと軽く運動すると、霧のように消えた短剣。
「あっ」
「首飾りに戻ったのじゃ。黒いのの剣は生き物みたいなもんじゃと考えといたほうが良いぞ?」
宮下さんが教えてくれたが、確かに生き物みたいだ。
息を飲む艶かしさに、ゾッとする冷たさ漂う殺気。
虎みたいな躍動感をもつ、美しい剣だった。
「あれ?たしかスズとつながってるんだよね」
“ああ、それがどーしたの?”
「いや…スズが振り回してた剣は日本刀だったから」
黒いのや荼枳尼天と戦ったときに、スズが持っていたのは日本刀だった。
黒庵さんのは短剣だ。


