「…」
「我が主、頑張ってくださいっ」
頭を抱えた鸞さんを応援する苑雛くんだった。
「……もういい、移動しながらお主らにわかりやすく説明するとしよう。
信太の森とは、安倍晴明の母――葛の葉の故郷に通じる異界じゃ。
わらわたちで言う、お父さんの異界に行く前の海のような、異界に行く前の異界」
なるほどな。
だいたい信太の森の特性について理解はできた。
「安倍晴明ってそもそもなんなんだぁ?人間だろ、なんで異界を作れる親をもって…」
…黒庵さんはどうやら根本からわかってないようだ。
神様初心者な俺以上。
武道派な彼はオツムが弱いらしい。一同が揃ってめんどくさそうな顔をしているのに、気づいてないのも馬鹿さを強調している。
“鸞。こいつの馬鹿は今に始まったことじゃねーだろ”
「そうじゃが、こやつ記憶と共に脳みそまでなくしてないか?」
「体は変わってねぇぞ?苑雛じゃあるまいし」
嫌みはわかったらしいなあ。
「安倍晴明は妖狐の葛の葉と人間のハーフだよ。
鶴の恩返しならぬ妖狐の恩返し的な感じで、二人は出会って結ばれて、童子…安倍晴明が生まれるってわけ。
でも鶴の恩返しみたいに、最後は安倍晴明に母の正体がバレてしまうんだ。
で、さっきの一句を残して信太の森に帰ってしまった葛の葉を安倍親子は追う。
迷いに迷って、見かねた葛の葉が出てきて縁切りがわりか宝物を差し出し、安倍親子はそれを用いて出世をして成功した――という話」
なんだか色々な物語が混じったような話だな。


