上から落ちた衝撃。
そんなに唸るほど痛くない。
恐る恐る目を開けてみる。
見渡す限りの、うっそうとした木々が広がっていた。
圧迫感と薄暗さが漂う、決してお花畑などとは無縁そうな森。
「…え?」
「信太の森は異界なんだ」
後ろから、いつのまにか鸞さんにだっこされている苑雛くんの声が降りかかった。
アカネの気配がする。
どうやら中に入ったみたいだ。
あの山に似てる土を踏んで立ち上がれば、やっぱり目の前は山で。
なぜか、迷ったみたいな絶望を覚えた。
「異界、なの?」
「京都だったか…そこにもあるって言われておるが、信太の森は異界じゃ」
「青いのぉ、恋敵は信太の森自体わかってないんじゃ…」
その声に後ろを振り返れば、宮下さんが烏天狗の姿で立っていた。
立派なお髭に綺麗な翼。
いつのまに――
「……宮下、あったか?」
「いや。此処ではないみたいじゃ」
「ふむ…。ならばよい。行くぞ、宮下」
意味のわからない会話に首を傾げてると。
「鸞!意味わかんねーよ、なんで宮下がここにいんだよっ!無関係じゃねぇのか?」
…もっとわかってない人が叫びだした。


