妄想世界に屁理屈を。



詞?俳句?


どこかテンポのいい言葉を暗唱した苑雛くんは、アカネをちらりと見てため息をついた。


「諦めろ苑雛、柚邑はバカだもん」

「…おねーさん…これも知らないのかあ…」


どうやら俺はバカにされてるようである。


「え、え?知らなきゃいけないやつ?」


「いけないやつだよ。
葛の葉伝説…安倍晴明のお母さんの伝説だよ」


くい、と腕を引っ張られ、障子を勢いよく開けて縁側に出される。

中庭が広がり、そこには着物の鸞さんが立っていた。

威厳ある高価そうな花柄の着物は、鸞さんの美しさを際立たせていた。


「起きたのか、ゆーちゃん。ならば行くぞ」

「じゃあね、お父さん!行ってきまあす」


縁側の下に揃えてあった俺のスニーカーをひっかけて、池の方につれていかれる。

ばいばいと手を振ってるところから、このまま行くんだろうな。


り、理解が追い付かない…。


「気をつけてくださいねぇ〜」


どこか軽く見送られ、そして――


「うわぁあああっ!?」


ドンッと、当たり前のように池に突き飛ばされた。