「おねーさんが起きるのを待ってたんだ。
アカネを連れていくにはおねーさんが必要だからね」
「あ…ご、ごめん」
「別におねーさんをせめてないよ!」
えへへと笑う苑雛くんに、ちょっと安堵。
なんというか――子供らしからぬ苑雛くんは怖かった。
底無しの恐怖、というか。
気がついたら足元を救われてしまうような、そんな恐怖があった。
「どうやら安倍晴明は頭がないみたいだよ」
「え?」
「どうやらスズの霊力をなくすことで、その発信源――アカネの居場所を突き止めようとしたんだろうね。
だけど、お父さんが作った異界を突き止められるはずがない。
変わりに僕に居場所がばれちゃうわけさ」
なるほど。
この異界は、驪さんの居場所がバレないように作られた、いわば最高神の秘密基地。
居場所が人間の安倍晴明なんかにばれるはずがない。
変わりに霊力を探られて裏をかかれてしまうってわけか。
確かに、言葉にしちゃえば簡単かも。
「どこだったの?」
「異界だよ」
「え?」
「恋しくば、
たずねきてみよ
和泉たる
うらみ葛の葉――」


