妄想世界に屁理屈を。



『…この家に行きたいの?』


地図を読んで理解したのか、少女が問う。


『ああ。私の子分みたいなやつがそこの家にご厄介になってるみたいで――迎えに行こうかと思ってな』


…スズが厄介になってるんだな。



『ふうん。

で――そんな下手な変装してるわけね、鳳凰ともあろう方が』



ポイッ、と地図を風に乗っけて飛ばしてしまう少女。


驚愕に目を見開くアカネをものともせずに、無表情で返した。



『バレないとでも思ったの?
あなた、神格の高さが駄々漏れなのよ…。

人間に化けたかったのだろうけど、下手すぎるわ。髪色と見た目でどうこうしようなんて、甘いのよ』


ズケズケとものを話す少女に唖然とするアカネ。


『お、まえ…』


『ミズクメちゃーんっ!向こうね、キノコがたくさん生えてる木が……あ』


森からパタパタと忙しない動きでやってきた小さい少女に、もっと唖然とするアカネ。

今のポニーテールと違い、櫛で一つにまとめてある朱い髪。

姿形は変わらないのに、着物と腕に巻かれた白い包帯が変わっていた。


『アカネさま!?どうして此方に…』


『スズぅうううっ』


アカネはタタタと駆け寄り、すごい勢いでスズを抱き締めた。