◇◇◇
今よりも空がずっと青くて澄んでいた、森の中だった。
『えーと、今ここら辺のはずだろー…と、なるとぉ…』
どう見ても迷ってるアカネが、地図らしきものをクルクルひっくり返して首を捻る。
『…苑雛のやつ、嘘ついてんじゃねーの?』
なぜかいつも着ている着物よりもずっと質素なものを身に付けて、あの朱い髪を黒髪にしている。
黒髪のせいで最初、アカネじゃないかと思ったよ。
『…んーと、えとぉ…』
『迷子なの?』
『んぴっ!?』
背後からかかった声にものすごく驚いたらしく、肩をびくんと強ばらせる。
そろそろと声のありかを見れば、黒髪の美少女。
淡い蒼の桔梗の着物を着ていて、身分が高そう。
白い肌に黒曜石のような底無しの黒い瞳、珊瑚色の唇。
幻のように綺麗な女の子だった。
ん?なんか俺、この人の雰囲気しってるような…。
どっかで感じたことのある、妖艶だけど幼さを孕んだ雰囲気。
『ま、迷子でぇす…』
『あら、そう。どこに行きたいのかしら?地図をお貸しなさい』
どこか高飛車な態度で、アカネから地図を奪う。


