妄想世界に屁理屈を。



「黒庵さ…ん、思い出して、おねがっ…!」


また、霊力が逃げていく。

何をされてるのかわからないから、余計に怖い。


「す、ずっ」


『早くかえってきてって、私待ってたんだからね』

『い、言う!言うよっ!言って、アカネさまの隣に立つ!』


頼むよ、これ以上あの子を傷つけないでくれよ。


「あっ…く、黒庵さ、」


“柚邑っ”

「…警察呼ぶ?」
「や、救急車…でしょ」

ようやく、と言っていいのか。

ガヤたちが動き出した。

携帯を片手に、救急車や警察を呼び始める。

いや、いらないんだけどな…。

「だいじょ、!」


がくんと、また体の力が抜ける。


酸素と気力が吸われていくようだ。


「っ、」

ミサキくんが支えようと、手を伸ばしたときだった。



――ふわりと体が浮いたのは。



地面すれすれだったのが、とっても高い位置に一気に持ち上げられる。

驚いて顔をあげれば、黒庵さんの綺麗な顔が目の前にあった。


吸い込まれそうな黒い瞳。



「……バカ野郎、人間のくせに無茶しやがってよ」



上から振ってきた、超低温な声。