「朱いの…か?」
呆然とする宮下さんに、してやったりな顔をする鸞さん。
修羅場な状況、である。
「…柚邑、こいつ――宮下はな、家族を目の前で殺されたんだよ」
(え?)
「…烏天狗は群れて暮らすんだ。こいつも、ある山に拠点を張った一族の出で、家族皆で仲良しこよしに暮らしてた。
だけどっ…ある日、一族全員が惨殺され、滅亡に追い込まれた。
ちっちゃかったこいつを家族が必死に逃がして、私と黒庵がそれを受け持って…別の一族でこいつは育ったんだ」
(その犯人が、安倍晴明なの?)
「…ああ」
「…あの山は人間の開発に使われ、わしは故郷も失ったんじゃよ、人間」
暗い顔をして、焦点の合わない目で呟くように言う宮下さん。
これが、復讐を誓った者の姿――
一般論から見たら、アカネの方が間違ってると見えるかもしれない。
だって安倍晴明は彼の全てを奪って、また奪おうとしてるんだから。
敵討ち?やれやれって、一般論ならなる。
だけど、アカネは貿易。お友達を大事にする神様。
嫌なんだ、友達が悪意に染まっていくのが。
「…宮下。
私も安倍晴明を殺したいよ。
だって、タマを殺したんだ。烏天狗を殺したんだ。
その上スズを……憎いよっ、心の底から憎いよ!」
叫ぶように、アカネは吐き出した。


