妄想世界に屁理屈を。



「朱雀がいないのですか?」


ミサキくんが出てきた。

黒曜石の瞳に頷くと、「かしこまりました」とその瞳を閉じた。


「ミサキくん?」

“……どうだ?”


パチリと冷たい瞳を開けて、ため息をつく。


「…朱雀の霊力の匂いが致しません。
このあたりにはいないかと」

“…ちっ”

どうやら霊力を探っていたみたいだ。

一人一人違うという霊力。

スズの匂い、と表現したが、ここら一帯にはいないみたい。


「…お嬢様、変な匂いがいたします」


「変な匂い?」


「はい。このあたりでは初めて感じる霊力です」


“スズに関係あんのか?”

「スズに関係は?だって」


「それはなんとも…ただ、一応神霊なので、鸞さまには伝えておいた方が良いかと」


「……」


皆の顔色が、がらりと変わった。

今までどこか緩かった神様たちだが、スズの安否がかかった今、威厳に満ちた緊迫感が漂い始めた。


「…どうするかの。スズちゃんの危機とあっては、全面的に協力するぞ」

「ありがとうございます、宮下殿。朱雀は大変狙われやすいので、まず何かあったと見て良いでしょう」


“…ちっ、ちょっと目ぇ離しただけなのに…

あ、柚邑?”