席に戻ると、隣の厘介が意味深に見つめてきたので笑って答えた。
「いやあ…変な知り合いで」
「…何の関係?お前があんなイケメンと接点があるなんて初めて聞いた」
「俺も!スーツ姿のイケメンに、今話題のラーメン屋のイケメンなんて…」
「ミサキくん…スーツの方が…し、親戚?なんだ。
黒庵さんはミサキくんの主人…じゃないや、えと、友達で」
「親戚と親戚の友達ってことか。店飛び出したおじさんも?」
「…し、親戚…」
しどろもどろに嘘をついた。
“お前嘘下手なー。ゆーちゃんのときは結構うまいのに。あれか?女のときはしやすいのか?”
…そうなのかも。
と、いうよりゆーちゃんの時は存在そのものが嘘だから、終始嘘をつかざるをえない状態だ。
だから嘘のピックアップもそれなりにある。
しかし柚邑のときは不意打ちがほとんどで、誤魔化すネタもあまりない。
結果、嘘が下手になってしまうのだ。
「お、来た!厘介も柚邑や俺みたいにトンコツにすりゃあよかったのに」
「俺は今日はあっさり塩な気分なんだよ」
ラーメンが来たので受け流すことができた。
ほかほかな湯気から、美味しそうな匂いが漂う。
…黒庵さんがここで働いてるのは、鶏ガラじゃないからなのかもしれないと、少し思った。


