妄想世界に屁理屈を。


“朱雀にはくまさんを差し上げます”

「いいの!?ミサキくんありがとうっ」


“よかったなー、スズ。
スズにまで気配りするなんて、ミサキくん天才なの?ホストかなんか?”

“いえ、社長秘書でございます”


くまさん二つはスズと苑雛くんのぶんだったのか。

で、ねこちゃんが俺か。


…女・子供枠に入ってるのがなんとなく傷ついた。



くるんと、烏が宙返りをした。

光の膜みたいなのを舞わせながら、一瞬で人間に戻っていく。


「ミサキくん…」


声はミサキくんでもからだが烏だから、実感がわかない。

人間のミサキくんの方が、やっぱりしっくりくる。


「変身の仕方がスズとそっくりなんだね」

「はい。吾たちは神ではないことから、自分で変身を解く動作をしなければならないのです。狐などと同じにございます」

「…」

…神ではない、ねぇ。

ちょっとひっかかりながらも、土の乗った皿をどかしてねこちゃんのパンを置いた。

「ゆーちゃん殿、それはなんですか?」

「鸞さんの作ってくれた、ハンバーグとやらだよ」

「……」

うわ、と言いたげな顔をしたミサキくん。

あなたがパンをくれなきゃ、俺はこれを食べるとこだったんだよ。