「ゆーちゃんこれっ…食べ物じゃない?」
渡されたビニール袋を覗くと、中には包装されたパンが入っていた。
くまちゃんの形をしたパンが二つに、ねこちゃんがひとつ。
やけに少女趣味なそれをミサキくんが持ってくるなんて…
ギャップ萌え必須な状況に、ミサキくんをみた。
“窓から鸞さまが料理をなされてるのが見えたからでございます。ゆーちゃん殿には、今一番必要なものでしょう”
「…み、ミサキく、」
泣きたくなるレベルで親切が嬉しかったのは、久しぶりだった。
低い美しい声で親切にされ、涙がでかかる。
あああ…ミサキくん、これは惚れちゃうよ。
ゆーちゃん的な部分がキュンキュンしてるよ。
スズがなつくのもわかる気がした。
「なっ!ミサキお主、わらわの料理にケチをつける気かっ…」
“違います鸞さま。これは吾が苑雛さまに見あうと思って買ってきただけでございます”
「…ぬ?苑雛に?」
ビニール袋を鸞さんにひったくられる。
中身を見て目を輝かせた。
「苑雛っ!このくまさんを食べてくれ!
そしてわらわのカメラに、その愛らしいもの×愛らしいものの神のコンビを収めさせてくれ!」
――しかもミサキくん、鸞さん対策もバッチリだったとは。


