妄想世界に屁理屈を。



普通の烏よりも小さめなのに、どこか目が離せなくなる美しさがある。

妖艶とでもいおうか。

光沢を帯び、烏の羽独特の光を弾いている。


首には、揃ったように細い糸が巻き付いたように巻かれている。



“――失礼します、鸞さま。ゆーちゃん殿に用が御座いまして”



低い声。

冷たさを感じる声に歓喜したのは、スズだった。


「ミサキくんっ!」


“朱雀”


パタパタとベランダに飛び出し、小さい烏に抱きついた。

ツンデレがデレる瞬間だ。

“おー、ミサキじゃねーか!ん?なんだそりゃ”

なぜかミサキくんはビニール袋を加えていて、それをそっとスズが受けとる。


「ミサキくん、これは?」


「や、それよりどうして此所に…」


さっき俺たちは別れたはずだ。

なのになんで、ここにいることがわかってるんだ?


“それはゆーちゃん殿に渡してください。吾は、ゆーちゃん殿の気配を察して此方に参りました。おそらく、必要になるだろうとコレを渡しに”


「あっ!」


スズがビニールの中身を見て、小さく悲鳴をあげた。