「卵はわかるとして、玉ねぎたちはどうしたんです?」
「お主、わらわを泣かせたいのか?」
「……パン粉は?」
「入れたのじゃが、焦げと化した」
うわあ、自分で作ればよかった。心の底から後悔。
キャベツが洗われてないのは、洗うと言う行為を知らないからだと推測つくとして。
「じゃあ今世紀一番の謎の、レモンは?」
「そうか……れもんというのか、これは。
スーパーでたまたま黄色いものを見つけたのじゃ。
あんまりにも鮮やかで美しいものじゃから、試しに切ってみたら形も美しい。
嬉しくて乗っけてみたのじゃ」
「鸞さまらしい思考ですね」
スズがぼんやりとハンバーグという呼称のものを眺めながら、感想を呟いた。
…本当、鸞さんらしすぎて涙が出そう。
「我が主……それほどまでに僕を、僕を……!」
「ほれほれ苑雛、泣くでないぞ?」
ラブラブな光景のはずなのに、どうみても親子にしか見えない。
すりよる苑雛くんをいとおしそうに抱き上げた。
ピンクな雰囲気を放出し始めたので、耐えきれず逃げるように「いただきます」と言ってみる。
“食べるんだ!えら!”
「…まあ、作ってくれたし」
箸でそぼろ的なハンバーグをつまんで口に運んだ。


