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みわたすかぎり、黒、白、茶。
鸞さんと苑雛くんの部屋に俺たちはいる。
なんともまあ、殺風景な部屋だった。
「…」
思わず黙った俺を見て、鸞さんが笑う。
「すまんのぉ、ゆーちゃん。わらわはどうしても色に関心がいかなくて…
何をどうしても黄色ばかりになってしまうのじゃ。
それを回避するには殺風景な部屋にするしかなくてのう…」
目を細め、わらわったら健気というふうに頬を赤らめた。
えぇ…
い、いまいち照れるシーンがわからん。
“でも家具は一通り揃ってんのなー
包丁とかまな板とか使わなくね?”
「まあそうなのじゃが…。
人間の来客が来ることがたまにあってな。カモフラージュのためじゃ。
さすがに三種の神器であるらしい冷蔵庫もない家は怪しまれるじゃろう?」
確かに、鳳凰である彼らは食事を必要としない。
甘い水か霊水さえあればいいんだから。
発生した以上、人間には怪しまれたらこの世界では生きていけない。
OL、園児として生きる彼女らにとって、それはちょっと困ることなのだ。