この世の理不尽に泣いてる場合じゃない。
とりあえず、閑話休題。
「安倍晴明の生まれた安部家は、そもそも陰陽道とは無縁だった」
「えぇ!?」
「官僚は官僚だったみたいだけど、大膳夫(オオカシハテ)――天皇のご飯作ったりしてた家みたい。安倍晴明も若干継いだみたいだけど、安倍益材…お父さんより出世してるね」
そ、そうなんだ…
ご飯作りながら鬼やらなんやら祓ってるところを想像した。すごい、なんだとってもファンタジー。
「陰陽道の集大成を成し得た最強の陰陽家の賀茂家当主、賀茂忠行。この人が安倍晴明の実力を見いだし、可愛い可愛いって我が子のように育てたみたいだよ。
結局、息子と安倍晴明どちらも可愛すぎて、天文学と暦学を別けて相続させた。
これが後の衰退に繋がるわけだけど、関わりないから置いておこうか」
詳しいなあ…。
「で、話はここから。最初僕ら鳳凰は、玉藻前を殺したのは安倍泰成かと思ってたんだ。戦に行ったものの文献や資料にはそう残ってた。
だけどね、異を唱えたのが我が主鸞さまさ」
「鸞さん?」
いきなり知ってる単語が出てきた。


