「さて、おねーさんとアカネの話は終わり。
次はスズの話をしよっか?」
「へ?わ、私ですか?」
いきなりスポットを当てられたスズは、驚いた声をあげる。
苑雛くんは隅っこに置いてあった青いリュックサック…もとい、保育園バッグからノートを取り出して持ってきた。
え、園児に似合わない…
「スズ、辛いだろうけど、安倍晴明について話してくれるかな?」
「っ、」
苦痛に、スズの顔が歪んだ。
「ご、主人さまの…」
「苑雛!てめ、スズが嫌がるのわかってんだろーが!」
「そうだよ苑雛くん!ちょっとそれは可哀想っ…」
アカネと一緒に抗議したが、サッと手のひらで制された。
「あのね、ちょっと大変なことなのかもしれないんだ。
四神を手込めにした人間について知っておかなくっちゃ、僕たちが危ない」
大変なこと?
「それでもな「アカネさま」
怒鳴ろうとしたアカネに、声が重なる。
「大丈夫です。私は、鳳凰に仕える身。苑雛さまのお役にも立ちたいですから」
ちっちゃい体躯に似合わず、輪とした声でそう言った。


