「ちょっと焦らなきゃなんねーな。柚邑が消えちまったら百瀬ちゃんとレズになっちまう」
アカネが出てきながらそう言った。
くそう…アカネのせいで柚邑消滅の危機なのに、なんか軽いな…
「アーカーネ、おねーさんに謝らなきゃだめだよ?一生めちゃくちゃにしてるんだから」
「うっ…わ、悪ぃゆーちゃん」
謝られた。苑雛くん大人すぎる。
「つまり、1週間以内に竹の実を手に入れなきゃ、俺ゆーちゃんになっちゃうわけだ」
そのためには黒庵さんの目をさまして、異界に連れて行かなきゃならない。
あああ、問題山積み。
「ミサキくんを連れていくみたいな話なかった?」
「あるけど、異界に入ったら戻ってこれないよ」
けろっとした顔で苑雛くんは語る。
「え?」
戻って、これない?
「かれは呪われた従者、異界の行き来は本来禁止されてるの。
唯一行けるのが、神々のごみ捨て場である異界。だけど地獄みたいなものだから、もう出れないんだ。
ぼくたち鳳凰はちょっと特殊な立ち位置だから、行き来可能なんだけどね」
つくづくミサキくんは不利な立ち位置である。


