「器っていう生き物になっちゃうんだ。もちろん女の子」
「生き物になる…?」
「器っていうのは、ちょっと特殊でね。影武者のスズに似てるけど、彼女みたいに神様じゃない。非常に特殊なんだ。
霊力だけはアカネと繋がってるから溜まる。けど、それを君は使えない。
だから神様じゃないんだ。人間なんだよ。
霊力の溜まりやすいただの女の子っていう生き物になるんだ。
男の子のときに溜まる霊力は微量なんだけど、女の子のときに溜まる量はけた違い。
最悪、悪神などに目をつけられて殺されるかもしれない。
能力は人間の女の子なんだから」
「人間じゃないの…?」
「人間は霊力を故意的に溜めることはできない。だから人間の枠組みからは外れてしまうんだ。
だけど神様とも言えないから、まあ…人間と神様の間の生き物になるね」
つまり。
俺は『霊力の溜まる美少女』という、人間でも神様でもない新しい生き物になっちゃうわけだ。
男に戻るどころか人間にも戻れないなんて…
ちょっと精神的ダメージ大きい。
「阻止したいなら、早く解決して――アカネとの繋がりを絶たなくちゃならない」
「…は、早く…」
「期限は1週間だよ」
1週間。
それが、柚邑の寿命だった。


