妄想世界に屁理屈を。


「ゆ、柚邑殿!?」

「柚邑!」


二人が必死になってドアをこじ開け、足が解放される。

ミサキくん腕力あるんだな。

解放された反動で尻餅をつき、なんとか立ち上がる。

ずきりと、左足が痛んだ。


「…なんなの、あんたたち」


気持ち悪そうに俺らを、敵を見る彼女。


「私たちの幸せを邪魔して楽しいの!?ようやく…ようやく平穏が訪れたの!私たちは愛し合って、」

「この人たちだって黒庵さんを愛してる!」


怒りが沸く。


彼女は少々自分勝手過ぎやしないか?

縛り付けて、自分のものにして。

傷つく周りが行動を起こせば被害者面。


ちょっと酷すぎる。


てか足謝ってほしいんだけど…。


「それも、あなたが黒庵さんと関わり始めるずっと前から!この人たちには黒庵さんが必要なんだよ!」

「関係は?」

「え?」

「あなたとだあくんの関係は?」

「あ…と、」


俺、無関係。


「私たちは夫婦なの。それ以上の繋がりってある?」


「黒庵さまたちも夫婦だよ!」


スズが、一歩前に出て負けじと叫んだ。