妄想世界に屁理屈を。


◇◇◇


アパートのドアを開けたのは、山本由美だった。

化粧っけのない、ゆーちゃんより遥かに劣った容姿。

痩せぎすな体躯、質素な衣服。


どこからどうみても、ただのOLだ。



『イケメンを拾った』以外は。



案の定、彼女は俺らを見ると、眉を不快に歪めた。


「…なんですか?」


「あの、黒庵さんは?」

「だあくんは今仕事です」


そう言い捨て、扉を閉めようとする。

間に足を挟んで阻止した。

じぃんと痛むけど、まあいい。


「…何してるんですか」


不快そうに足と俺を睨まれる。

く、挫けないもんね。


「黒庵さんを返してください」


毅然とした態度で交渉を試みる。

が。


「だあくんは私のです!部外者は関わらないでください!まるでストーカーみたい!」


ぐぐぐ、とドアを閉めようとする。

足に激痛が走り、目に涙が滲んだ。

「…っ、」


痛い。

この人、容赦のよの字もない。

それほどまでに俺らが敵と言いたいのか。