妄想世界に屁理屈を。


「……」

呆然と、スズがアカネを見つめる。

いや、実際には見えていない。

声のありかを見つめてる、が正しいだろう。


「繋がるは、弱いも強いも生きるも死ぬも共に一緒…だってさ」


「に、人間のくせにアカネさまの言葉を通訳するとは生意気なっ」

ぼうっとしていたスズに怒られてしまった。

「生きるも死ぬも…」

ミサキくんが呟く。



“例えば、もしお前がやられたら、そのとき消耗した霊力は全部黒庵もち。
下手すりゃ黒庵が死にかける”

「うわっ…」


もし、それが本当なら。


「…家来に命を預けてるようなもんじゃん」


主人はふんぞり返るだけじゃないんだ。

上にたつ責任がある。


鳳凰の場合は命をもって責任を負うのだ


そこまでして下につけたい人。

支えてもらいたい人


――深い関わりじゃない訳がない。



「ミサキくん、やっぱり愛されてんね」


「柚邑殿…」

「大丈夫、記憶はきっと戻るよ。普通、こんなに大好きな人たちのこと、簡単に忘れられないもん」


ミサキくんの幸せそうな黒い目が、やけに綺麗だった。