「……」


むくりとおきあがる。


堅い凸凹したクッションに横たわったせいで、腰がいたくなっていた。


“あ、起きたーっ”


「…ふああ…」


おきあがるだけで、以前の体躯と違うことを察した。



ゆーちゃんになってる。



そう、俺は学校がひけるとミサキくんに拉致され、昨日と同じルートを辿っていたのだ。


夜になればゆーちゃんになる。

ゆーちゃんになれば、なぜかアカネの夢を見る。


もはや慣れつつある現象である。


「おはよ、スズ、ミサキくん」

「ゆ…ゆ、ゆーちゃん殿、またコンビニよりますか?」

「…言いづらいなら無理して言わなくていいよ、ミサキくん」


柚邑殿が馴染むなら、別にそっちでもいいのに。

コンビニによってもらい、例のメイド服に着替えてから、また黒庵さんの家へ向かう。

隣の県といえどやはり距離はあるから、時間がかかる。

が、今日は昨日より空いていたため、早くついた。