妄想世界に屁理屈を。


試行錯誤を重ねて、ようやくできたのがあの異界。


その場所で僕ら鳳凰を拾い、育てたんだ。


しかし、お父さんは海に出るのさえ嫌がった。

僕らが勝手に出ていくのも、初めは過剰なくらい心配したものさ。

そんな彼が出れるのが、光のない新月の夜のみ。


黒いお父さんを隠すのには打ってつけの闇だからね。



調べてみるといい。


『 黒竜は、光を苦手としている為、普段は光が照らされる事すら無い深い海底で孤独に棲みついており、光の無い新月の夜のみ、その姿を海底から現す』


海底、だろう?

あのトンネルを通って家へといくからね。



孤独に住み着く、忘れられた最高神。



それが彼さ。

結晶を渡してしまおうと幾度も思ったらしい。

けれど、できなかった。

自分に全部を託した、買いかぶりな創龍を裏切ることになってしまう、と。

脳内お花畑の彼は、そう思ったんだ。