妄想世界に屁理屈を。



脇に手を挿し、持ち上げる。

軽いスズは、当たり前のようにひょいと浮いた。


「な、離せ、ロリコン!人間!」


さっきの態度はどこへやら。さまざまな変態のせいで過敏になってるスズは、ぎゃあぎゃあと俺を罵倒。


無視して、スズの小さな手を手に取る。


「っゆ、」


そして、蝋燭をスズの手で掴む。


輪から外れたことで、結界は完全に崩壊した。

待ってましたと言わんばかりに、アカネが駆け寄る。

それはもう世界新記録ものの早さで。


「柚邑、どけ!」


俺の中に勝手に入って、勝手に俺の意識をどかす。



息ができなくなったけど、まあいいや。


アカネが俺の体を乗っ取ったおかげで、伝えたいことをダイレクトに伝えることができる。



「こんのバッカ!!」



ぎゅうっと。

彼女はたつこともせずに、座ってスズを抱き締める。


「なんで言わねーんだ!なんで私に訴えねーんだ!なんで、なんで…」


潰しちゃいそうなほど、強く抱き締める。

ただ、疑問を口にしながら。



「家来だから!?格下だから!?

ふざけんな!」