妄想世界に屁理屈を。



「やだっ!だっ…だって、嫌われる!アカネさまに!そんなの…そんなの死ぬのと一緒なの!」


「アカネだってそうだ!アカネだって、スズがいなきゃどんだけ辛いか!」



ぴた、と。

スズが止まる。



「見てて痛いほどわかるんだ!

スズのことをいっつも気にかけてて、本当にまるで娘のように愛してる!」


「根拠が、」

「自分のために死地に面したスズを助けるため、少ない霊力を振り絞ったろ!」


く、と唇を噛み締める。


「それだけじゃない…自分がいない間のスズを心配して、ほら、これ」

首にかかる黒い糸に触れる。

「一人で生きられるように、黒庵さんの剣の分身を授けてくれたんだろ」

「う、ん」

「居場所を作ってくれたんだ」

「ん…」

「家族もくれたんだろ」

「…っ」

「お友達だってできたんじゃないか」

「あぅ…っ」


わかれ。

伝われ。

痛いほどの想いを。


――スズは、がくんと首をたらした。

その姿はまるで、電池が切れたようで。


ああそういえば、この人達の活動理由は、皆『人のため』だったなあ、なんて思った。



「…あ…ぅ……い、言う!言うよっ

言って、アカネさまの隣に立つ!」



だからお願い、ついてきて。



そう言ったスズに柔らかく微笑んだ。

成長の場面を見るって、こんなに幸せなんだって知った。