妄想世界に屁理屈を。



怖いよな、嫌だよな。


『あんたに居場所を。この家――ううん、私の隣っていう居場所をな』


居場所をくれた恩人を裏切った、その罪に。

この子はずっと怯えていたのかもしれない。


『そのとき私は思ったの。
絶対にこの人のために死のうって』

『私はアカネさまの隣以外歩かない』


あの、悲しいまでの主従愛は。

きっと決意表明なんだ。

次、もしこのようなことがあったら、この子は今度こそ死ぬ。

その覚悟の現れ。


否、アカネを愛するという気持ちの現れなんだ。


「スズ」


肩を両手で支え、向き合う。

怯えのせいか濁った瞳が、俺の顔を映す。



「話そう?」



そう言い聞かせた。


「や…」


案の定、スズは首を振った。

肩を支える手すら嫌そうに、御悶えた。


それを、ぐっと力を入れて拒む。


アカネがどれくらいスズを愛してるかわかってほしくて。